■ 聖乙女の苦悩 ■
作:ミルキー
ことは
セイント・ジェムズに降りたった 聖乙女 だいなすてぃ~あは、この間 丘に行った時に 見てはいけないものを見てしまったのだ。
丘を散歩していると、だいなすてぃ~あの お目当ての男性 フローライトが 丘にいた。
《きゃああ~~!フローがいるwwww》
と 隠れるところもない 丘だけども 気迫で隠れて フローを観察していた。
すると、華奢で透き通るような白い肌・・・男性とも女性とも言えない 中性的で そして
はかなげな人が 現れた。
《誰!!??》
見ていると、フローライトと 仲よさそうに お話をして・・・
なにやら ケーキなども もらっている。
《そりゃ・・・フローにだって 友達くらいいるわよね・・・》
だいなすてぃ~あは 自分に言い聞かせた。
そして・・・聞いてしまったのだ。
フローライトの口から・・・その目の前の人に・・・
「セレススタイン・・・君の方が きれいだよ」
と言っているのを・・・
《き・れ・い・・・??》
《どう きいたって 愛の告白じゃないの!!!》
だいなすてぃ~あは 悔しくて 哀しくて・・・その 《セレスタイン》とよばれていた人を
脳裏に焼き付けて足早に 丘を去っていった。
だいなすてぃ~あは 恋をしていた。
いつも 研究所で 小間使いのように 使われ・・・それでも めげない
フローライトという青年に。
そして 眠る間も惜しんで、油を作った。
彼と仲良くなりたい!
その一心だった。
300個も貢いで やっと 最近 仲良くなったかもwと思っていたのに・・・。
《誰なのよ~~ セレスタインて・・・!》
考えても 答えがでてこない。
研究所に 火でもつけてあげようかしら?とか、悪魔のささやきが聞こえたが、
あの研究所には 悪魔よりもおそろしいコランダム教授がいる。
コランダム教授にかかったら、普通に生かしておいてはくれないだろう・・・。
ロボットになんてなりたくない。せめて 死ぬまで 聖乙女でありたい!と
思っただいなすてぃ~あは 復讐ではなく、どうにか フローライトの心をいとめる方法が
ないものか・・・と 考えながら 就寝した。
だいなすてぃ~あは 夢をみた。
自分がなんと あの丘であった セレスタインになっているのだ。
楽しそうに 自分を見つめる フローライト。
フローライトを見つめていると・・・フローの顔が 少しづつ近づき・・・
はっとして 目が覚めた。
《いいところだったのに!》
せめて 夢の中だけでも、フローの心をひとりじめしたかったのに・・・。
ふと、ある考えがうかんだ。
《・・・私が セレスタインに なっていたのよね?》
それから、思いたったように だいなすてぃ~あは、メタモ実験をはじめた。
他の 聖乙女に 「どうしたの?忙しそうね??」と心配されながらも、寝る間も惜しんで 実験した。
そして!
新発見したのだ!
それは・・・
《セレスタインなりきりセット》だった。
《セレスタインなりきりセット》とは、そのセット全部をつければ 誰が見ても セレスタインに見えるという かつらから 服、肌の色・・・そして おめんまで そろっていた。
これで・・・フローに会えばwww
そうよ!会って 既成事実を作ってしまえば・・・私と結婚してもらえるわ!
恋の炎は、聖乙女を あぶない思考へと 導いていた。。。
だいなすてぃ~あは《セレスタインなりきりセット》を着て、コランダム研究所に行った。
どこからみても、あの丘で見た セレスタインである。
《だいたい ここにいるのよw》
そして、ノック。
こんこんこん。
「はい?どうぞ~」
《わぁ フローの声だww》
こんなところだけ 乙女である。
ドアを開けて 入っていくと、自分をみて びっくりしている フローライトがいた。
「セレスタインどうしたの?君が丘から 降りてくるなんて・・・」
事情がさっぱり わからない。
《セレスタインって 丘にしかいないのかしら??》
「まあ、何もないところだけど、中にはいってよ♪」
そう言われ、研究所の中に 通された。
運のいいことに コランダム教授は でかけているみたいだ。
「セレスタイン どうしたの?何かあったの?」
紅茶を出しながら、フローは心配そうに きいてきた。
《ここが 演技力の見せ所よ!》
「あのね・・・」
フローライトが 自分を見つめている。
それだけでも、ドキドキするのに・・・私がこれから言うことって・・・
心臓が はりさけそうだった。
「うん?どうしたの?声が違うみたいだけど・・・風邪か何かかな・・・??」
「あのね・・・」
悩んだすえ・・・ 思い切って言った。
「私と キスしてください・・・!」
呆然と 立ち尽くす フローライト。
だいなすてぃ~あは あわてて 次の言葉を口にする。
「あの・・・私は あなたと キスしないと 病気が治らないのです・・・お願いです・・・」
昨晩 ずっと 考えたセリフだった。
「え?セレスタイン え?病気?? キス・・・??」
困惑の色を隠せない フローライト。
赤くなったり 青くなったりする 顔色。
だいなすてぃ~あが フローライトをのぞきこむと、
フローライトは 心配そうな目で見つめかえしてきた。
そして フローライトが やさしそうな顔で、
「わかった・・・」
と言った瞬間・・・
だいなすてぃ~あの目から、涙が ぽろりと 落ちた。
《あの 素敵な笑顔は 私のためじゃないんだ・・・私がセレスタインだから・・・》
とまらない涙。
《私が 求めていた物とは 違うわ・・・ 私自身がフローに愛されたいの・・・》
「ごめんなさい・・・今のことは 忘れて・・・」
そういうと、だいなすてぃ~あは 走って 研究所の外に出て行った。
だいなすてぃ~あは 寮で 着替えると、《セレスタインなりきりセット》をどこに捨てるか
悩んだ。
《こんなの 普通に 捨てられないわ・・・》
ええい・・・と、寮の馬車停に プレゼントした。
《これで 私のものとは 誰も思わないわ・・・》
だいなすてぃ~あは 次の作戦を練るために 自室に こもった。
ほどなくして、「月と太陽亭」から研究所にやってきた ぺリドットは、馬車を降りると
変な紙袋をみつけた。
何か書いてある。
「これは 誰かにさしあげます。<馬車停>」
みると、誰かの 服とおめんのようだった。
「こりゃ~ おもしろいぞ~w」と その場で 着替えて、コランダム研究所にいる
フローライトを 驚かせようと 研究所に向かった。
こんこんこん。
ノックすると、すぐに ドアがあいた。
いつもと 違う表情の フローライトがいる。
「セレスタイン!もどってきたんだね!!」
「さっきは ごめん・・・ すぐに しなくて・・・ いや びっくりしちゃって・・・」
は?
ぺリドットは まったく 意味がわからない。
セレスタイン?これって セレスタインってやつの服なのか?
それにしても、なんで こんなにフローライトは、息をきらせているんだ?
は?おい!おい! やめろよ~~!
ぺリドットの顔に フローライトの顔が近づいてくる。
逃げようとすると、フローライトが
「いいから!」と むりやり ぺリドットの頭を抑えた。
ぎゃあああ。(ぺリドットの心の声)
くちびるが そっと 触れた 瞬間。
ぺリドットのしていた、セレスタインのおめんが ぽとりと落ちた。
今度は 驚いたのは フローライトである。
「あああああ?????ぺリドット!!????」
「どうして? え? あ? えええ???」
ぺリドットを 突き飛ばすと、おもむろに くちびるを 手の甲でぬぐった。
訳のわからないまま、フローライトは 「セレスタイン~~!!!」と 叫びながら
丘に向かって走っていった。
ぺリドットは、「あいつなんなんだ!?俺に惚れてたのか!??」と勘違いしながら、
ポケットから 取り出した 「キス手帳」の101回目に フローライトと 記入した。
「俺も 守備範囲がひろがったなぁ~」と ぽつりと つぶやいた。
そして、事件を起こした 聖乙女だいなすてぃ~あはというと、、、
今日も メタモ実験にあけくれている。
今 実験しているものは・・・
「惚れ薬」である。
《これで フローは 私にメロメロよ~~!!》
まったく 懲りてない だいなすてぃ~あ だった。